クワズイモデザインルーム







ぼくらの家ができてから

夫婦対談「クワズイモのくらし」


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以前ここで軽く紹介していた仕事は、これでした! 『元祖焼きカレー屋』(松井和之著、書肆侃侃房)であります!

curry

「表紙を川上宅で撮りたいけん、料理して器とかも貸して〜」と、編集ぴのこ氏(仮名)にまるっとまるめこまれ、打ち合わせに出向いたら、「表紙、中面の写真全部よろしく〜すごい量あるけどできるよね」って軽い詐欺???そんなこんなでうっすら頭痛とともに、終わりの見えない初仕事がスタート…。料理の完成写真約30点、素材と工程写真約20点を3日間で撮影することになりました。カメラマンは大野金繁さん、ライター兼編集兼驚異的に動きの良い助手(年上)の野田紗池子さん、そしてほぼシロウトのおいらで不安の船出。

ちょうど巡り合わせ良く、本業がヒマだった何日間かをフルに使って、準備をしました。まずは家にある皿、小物、カトラリーを簡単に撮影して、資料を作り、全体の素材を把握。これで大体3分の2くらいはまかなえそう。日頃から何に使うというアテもなくちょこちょこ買い込んでいた雑貨が、なんと商売道具として日の目を見るなんてねえ…。人生にムダなんてないね、と話を大きくして感慨にふけました。

残りの3分の1は、実家に帰って物色、オープンしたての「ぎゃらりぃ畦」のくまこに相談、ご近所さんの「お菓子と雑貨のお店spoonful」さん「osaji」さんに泣きつき、それからそれから、お気に入りのあんなお店やこんなお店へ駆け回り、大体のメドをつけることができました。そうそう、侃侃房さん懇意の「白山陶器」さんからも多数お借りすることになりました。

次に、松井シェフのレシピを元に、この料理にはこの器とこの雑貨、こんな風に料理を作って盛って、と全ての写真のアウトラインを決めます。それを私と大野さんと野田さんが撮影中の共通認識として目に見える形にするために、写真1点につき1枚の資料を作りました。自分でラフ撮影し、当日の細かい作業を書き込んでいきます。そして、3日間の撮影予定を組みます。

撮影前日の大買い物の後、前日までにできる下ごしらえを終えました。撮影当日には家の階段に、使用する全ての皿・小物を順にセットしてスタンバイ!松井シェフのカレーと用意していただける食材は野田さんが前日に家に持ち込んでくれました。

最初は緊張もあり、ぎこちなく始まった撮影ですが、それぞれの持ち場を忠実に守り、大野さんは大ベテランの素晴らしい仕事をなさり、徐々に楽しい雰囲気になってきました。私が計画していたセッティングをカメラの前に並べると、大野さんがファインダーをのぞくことで見える「美味しい世界」を作り上げてくださり、シャッターが切られます。私があわわとなっている間も、野田さんが次のセッティングの準備をしてくださり、足りないものをチェックし、何かに受けて大笑いしたりするのです。なんというか、とても緊迫していて、とても楽しくて、結構のんびりしていて、忘れられない時間となりました。

写真用の料理というのは、家族に作る料理とはちがう作り方をします。色とか食材の形とか、料理を盛りたてる飾りの食材とか、ソースのかかりかたとか、いろんな「見栄え」があります。例えば、鍋がわかりやすいでしょうか。寄せ鍋なら普通は出汁に火の通りにくい食材から入れて、白菜や春菊などやわらかい葉野菜を入れ、最後にお肉など固くなると美味しくなくなってしまう食材を入れますよね。みんなが食卓について、せーので全ての食材を美味しく食べられるようにします。でも、料理の本はちがいますよね。ほぼ全ての具が何の食材かわかる生に近い状態で、それぞれ汁からある程度顔を出してぐつぐついってます。しかも、お弁当のように白菜の場所、豆腐の場所、と他の食材と混ざることなくお行儀良く並んでいます。これが写真用の料理です。

私は昔から、料理の本と同じようにできあがりを作ることに興味がありました。料理の本が好きなのは、できあがりの写真をじっと眺めるためでした。それがこんな所で役に立つなんて…。

また、以前コンドオ*ミユキさんのスタジオでお手伝いをしていたことも大変勉強になりました。料理番組の生放送のアシストでは失敗が多かったのですが、撮影料理のアシストやデモンストレーションの仕事は性に合っていたのでしょうか、とても楽しむことができたことも、思い出されました。

3日間の撮影は、スケジュール通りにきっちり終わりました。3日間とも、夕方にはお茶を飲みながら次の撮影の打ち合わせができました。大野さんはウチの縁側で美味しそうにタバコをくゆらせておられました。野田さんとはいつものようにどうでもいい話に盛り上がって、甘いものをつまみました。ずっとずっと、カレースパイスのいい匂いがしていました。

そうそう、本の中身の話をしていませんでした。焼きカレーのお店「伽哩本舗」をやっておられる松井和之さんの焼きカレーレシピをたっくさん紹介した本です。レシピだけじゃなくて、カレーにまつわるいろんな話が載っています。今日は絶対カレー!、そう思うこと間違いなしの美味しい美味しい本です。

侃侃房さんのご許可をいただき、美味しい写真をいくつかここに掲載します。

curry

これは、白山陶器さんの器です。もともとちがうセッティングにしていたのですが、ファインダーをのぞくとなんかうまく決まらなくて、急遽考えたセッティングですが、ケガの功名で、とてもお気に入りの写真になりました。

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これは、実家の砥部焼です。

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これは、「spoonful」さんで以前買い求めていた雑貨を多く使っています。水玉の敷物は紙袋で、食用のインクを使っているそうです。器は、結婚祝いにいとこ姉妹からもらったもの。

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これはこの仕事の話を初めて聞いたときに浮かんだ器です。実家で昔から使っていた皿で、家庭科の教科書(これも私の大好物)でも使われていました。

以上が、初めての仕事の報告です。 楽しかった!!! またやるか…どうかは、わかんないでーす。 そのくらい、大変だったんだもん〜。

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